蕁麻疹は膨疹と呼ばれる蚊に刺されたあとのようなみみず腫れが身体のいたるところに生じる非常に痒い皮膚病です。
蕁麻疹=アレルギーと思い込んでいる方が多いようですが、決してそんなことはありません。
むしろアレルギーの機序で起こる蕁麻疹は少なく、ストレス、慢性疲労、寝不足などが原因あるいは増悪因子となって生じることのほうが多いようです。
また、肝臓、腎臓など主要臓器に障害があるため蕁麻疹が生じる、あるいは治らないということはありません。
慢性蕁麻疹の患者さんでは70~95%が原因不明です。
疲労、精神的ストレスのほか、アスピリンなどの消炎鎮痛剤も増悪因子となります。
治療の基本は、抗ヒスタミン薬を内服して、症状(赤み、膨隆、痒みなど)を抑え、出ないようにコントロールすることになります。
風邪を引いて熱が出た時に解熱鎮痛剤を飲んで熱を下げるのと同じで、根本的な治療ではありませんが対症療法として非常に重要です。
最近の抗ヒスタミン薬は、眠気などの副作用が少ない、持続時間が長い(1日1回の内服でよい)、効果発現が早いなど患者さんが服用しやすいように考えて開発されています。
また、最近では抗アレルギー剤と呼ばれる薬理学的に抗ヒスタミン作用だけでなくマスト細胞の膜を安定化させたり、サイトカインを抑えるなどの作用を併せ持つ薬剤が蕁麻疹治療の主流となっています。
当院の蕁麻疹治療も個々の患者さんにあった抗アレルギー薬を探し出すことが治療の第一歩となります。
どの薬剤が効くかはひとそれぞれなので、医師と相談しながら、時には試行錯誤してご自身に最適な抗アレルギー薬をみつけていくことになります。
慢性蕁麻疹では治療は長期間になりやや根気が必要です。
急性蕁麻疹で身体中に膨疹がひろがったり、息ぐるしさや腹痛を感じるような重症な方の場合、静脈注射やステロイドの内服を短期間併用します。